超低速起稿

都内在住のDJによるサブカルチャーと占術の談話

今の音楽の空気感について

 

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今のUKにはラッパーとトラックメイカーによるパンクロックの「再定義」が起こっていて、そのことをありありと感じさせてくれるのが、Mura Masaの新作なのだと思う。

そして、当然、その背景には今の社会情勢がある。端的に言うとブレグジットが決定的になり分断が進む今のUKで、ゆったりと心地よくリラックスしている余裕なんてないってこと。

「もうチルってる場合じゃない」

ということだ。

 

という良い記事を読んだ。

ブレグジット」は「Britain(イギリス)」+「Exit(出口)」という意味で、この程イギリスがEUから離脱するかしないかで話し合いが行われていました。

 

そもそもの話。

イギリスはEUの中ではわりと景気がよく仕事がたくさんあるということで、経済の調子がよくないところから多くの移民が入ってきていました。

まずはこの移民問題

なんと移民、難民についてEU内では常に受け入れるお約束なので規律によってコントロールすることが出来ません。つまり国を乗っ取られる可能性だってあるし、テロの可能性だってある。

それに太古の昔からイギリスという国は小さい島国なので争いごとも相当多く他国から攻められるような歴史を歩んできた…。

大昔、なんだかよくわからない肌感の合わない人種をコントロールするために銃が生まれたわけですが、現代においてはコントロールするすべがもうないということです。


銃社会の歴史

 

そして景気が悪くなってきたとしても金融政策が出来ないという問題。金利コントロールが出来ないし、EUに加盟すると法律も通らない。

ギリシャが経済破綻してきてEU本当に大丈夫なんすかね?となるイギリス。

 

ということでブレグジット問題が浮上してきたわけです。

 

しかし北アイルランド(カトリック)と他プロテスタントとの交渉が長引いていたためUK内は非常にピリつきムード。

 


【世界史】EUとイギリス離脱〜前編〜日本の未来にも関わる人類の大問題


【世界史】イギリス、EU離脱延期法案を可決〜後編〜人類の歴史は繰り返されるのか!?

 

UK内ではチルから暴力へ。

とあるように、パンク色の強いカルチャーが沸々と煮えたぎってきている様子。

さっそく余談ですがスクーターカルチャーが謎に盛り上がってるみたいです。


ロンドンを爆走する原チャリ集団 UKレイズ・イット・アップ

 

60〜70年代からのUKの血筋とも言えるのではないでしょうか。暴れておりますUK。

 

 

変わってアメリカではまだまだチルな印象。

やっぱり大麻解禁が大きい影響ではないかな〜と思っております。Netflix大好きなミレニアル世代もチルの代名詞。

パジャマのままでソファーに座り、デリバリーアプリで注文したアルコールを飲みながら、ネットフリックスのTVドラマをビンジウォッチング(一気視聴)――ミレニアル世代を中心に外出しないライフスタイルが増えてきている。

オンラインショッピングやビデオストリーミング、そして自宅でのリモートワークが増えてきた現在、ネット環境さえ整えば、家から一歩も出なくてもすべてが完結するからだ。

一方で、現代の速すぎる生活リズムや激しい競争の中、若者の疲労をその原因に指摘する声も上がっている。

「ミレニアル世代は疲れている」――ベッドを出たがらない若者たち | AMP[アンプ] - ビジネスインスピレーションメディア

 

 

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そして神童、ビリーアイリッシュの登場。

現代社会の強い抑圧から生まれた退廃的な音楽性。

若者の間で蔓延している「ザナックス(抗不安薬)」中毒についての歌詞、前衛的なMV、全人類の弱り切ったメンタルを全部受け入れるような姿勢、などなどとにかく現代の若者の闇みたいなものを集結させた闇of闇みたいな人。

 

 

若者の不安

 

将来、現在のスクールカースト、親子との関係、差別。とにかく若者達は不安。

昨今のUSアーティスト達は、この強烈な不安から解放されるためにはやはりドラッグ、もちろん大麻も含めチルがいかに必要かというのが定義されたり、ザナックスが危険視されてきたなど、USラッパーやビリーアイリッシュなどの歌詞を紐解けば伺えるかと思います。

 

若者の不安2

 

ビートもゆるーいLo-fi Hip Hopなんかも好まれているみたいです。Lo-fi beatsのBGMをyoutubeで聴きながら勉強するみたいなコンセプトのチャンネルも流行りました。

 

トランス、ニュー・ジャズ、アシッド・ジャズ、トリップ・ホップ…、Boom bapだけでなく、そこにはあらゆる種類のプロダクション・スタイルの要素があった。若いプロデューサーの多くは、こうした音楽と深夜や早朝だけアニメを見る幸せな郷愁、あるいは志を同じくする友人たちとを結びつけている。

 

人気チャンネル『Neotic』を運営するSteven Gonzalesは「自分が不安障害に見舞われた時、ヴェイパーウェーブやLo-fi Hip Hopが気を紛らわせてくれた。だからストリーミング配信を始めて、色んな人たちと恋やドラッグ、ゲーム、映画について話せる場を用意した。」と述べています。

Lo-fi Hip Hop(ローファイ・ヒップホップ)はどうやって拡大したか - beipana

Lo-fi Hip Hopについての詳しい記事

 

以前から話していたvaporwaveもこのチルミュージックを語る上で欠かせないインターネットミュージックジャンルです。vaporwaveの流れからfuture  funkが流行り、やがて音楽オタクの多くの若者たちは源流のジャパニーズCITYPOPに辿り来ます。主に70〜80年代のノスタルジーを探求しました。

 

 

 

日本の音楽シーンはというと

 

メインカルチャーはこんなかんじで議論されていたりします。

個人的に大森靖子さんはビリーアイリッシュがやってたことをもっと早くやってたなーという印象でした。大森靖子さんの名曲「kitty's blues」「新宿」などの楽曲は将来と今の不安を表していたり。情緒不安定な女の子が現代社会の見えないシステムによりメンタルを潰されるようなシリアスな物語性のある歌詞だったり。とにかく闇of闇でした。

 

金パブ自殺配信や、大阪のビルから飛び降りた女子高生とかのニュースがメディアで取り上げられるも、その原因というよりもSNSのモラルが!問題に変わっていたり闇は闇として封をされてきました。

 

闇of闇のメンターがメインカルチャーとして君臨する時が来るのかと待ち構えておりましたが、

 

大森靖子さんやミオヤマザキなどのカルチャーはメインカルチャーにはなれなかった。

 

これでいかに日本の若者が「安全」を選ぶかがわかった。

J-POPはあくまで肯定。あなた自身を許す。もちろん上記のアーティストも肯定ではある。しかし何が根本的に違うかと言うと、米津や髭男といった流行りのアーティスト達は社会と戦わないのである。あくまで平和的であるということ。だから大衆向けのJ-POPなのである。

日本のJ-POPの目線は社会ではなく日常なのだと気づくべきであります。

 

ビリーアイリッシュの音楽性は大衆向けだったろうか?

 

いや、違うだろう。

しかしアメリカの音楽ビジネスがビリーアイリッシュを作り出した背景にはやはり若者の闇みたいな物が密接に関わっているし、なにより社会と日常、どちらも織り込んでいる。

 

日本の若者がそういうカルチャーを選ばなかったのはもう既にさまざまな問題を放棄しているから、というふうにもみえる。

みんな病んでいる。

 

日本のアンダーグラウンドカルチャーではジャンルを絞ると、舐達麻やTohjiなんかが時代を写していると感じている。

ひたすらリアルなリリック、大麻推奨派の舐達麻。

嘘をつかないリアルなリリック。大麻を捌いて吸うそれをラップする。まさに90年代のNY ヒップホップシーンといったかんじで人気を博している。

やっぱり現代の若者は大麻推奨派が多いしきちんと勉強しているなーという印象。

なぜみんなアンダーグランドシーンで大麻が必要かといったらやっぱり疲弊しているからでしょう。

 

何度も繰り返しお伝えしたいし、この先も言っておかなくてはならないのが、「アート=問題提起」ということ。絵も小説も音楽もアートな部分は絶対的に問題提起なわけです。

無論、舐達麻がやっていることは完全に「アート=問題提起」なのです。

 

ヒップホップグループCreepy Nutsの「合法的トビ方ノススメ」という曲の中で、蔓延しているドラッグよりも音楽でトベるというような内容のリリックがあります。これは彼らは否定も肯定もしていませんが問題提起をしています。ある程度ヒップホップとドラッグは切っても切り離せないカルチャーなのは周知の通りですが、ドラッグや法、世界の大麻事情について無知な日本の現状に問題提起を起こしているのです。SHO「薬物はやめろ」なんかもそうだと思います。彼はヒップホップカルチャーに無知じゃないはずで、確実に問題提起をしているだけ。もっとディスカッションすべきでよく考えてみようと誰も悲しませないように勉強をしようと。そうじゃなかったとしたら「薬物はやめろ」は中身のないただのマヌケな曲になります。

 

政治とか活動家みたいな人って、「構造」を変えることはできるんだけど、芸術や音楽は、そういう問題を体験に変えられる可能性を持っていると思っています。

GEZAN マヒト

GEZANマヒトが我々に問う。新しい世界の入り口で社会を見つめる - インタビュー : CINRA.NET

  

 

 

そして、

時代の閉塞感を絶ち切る希望の象徴としての「天使」がテーマ化され、神扱いされているアーティストがTohji。

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Mall Boyz(Tohjiとgummyboyを中心としたクルー)による「Higher」では、〈成し遂げて死ぬ 成し遂げて死ぬ〉という異質なリリックを披露して、ラップファンの記憶に存在を刻み込ませた。既存のヒップホップでは成り上がって優雅な生活を送ることが目標とされていたが、成功と引き換えに死を歌い上げたリリックは、既存の価値観を崩壊させた。

 

彼は自分自身をゴジラに見立てる一風変わったボースティングをしていたが、今回は「閉塞感ある時代を切り開く天使」がテーマ。強く巨大なものに自己投影するのではなく、天使というのが近年のエモラップならではだ。

世界へ生き急ぐラッパーTohjiはどこまで高く飛び続けるのか 1stミックステープ『angel』レビュー - Real Sound|リアルサウンド

 

つまり、上の文にあるように今の若者はもしかしたら救いを求めているのかもしれないと思った。

 

 

昨今のクラブミュージックではどうだろう。

future funkになぞられてノスタルジックなディスコサウンド70〜90年代ブームが流行ってるかもしれないがもうそろそろピークかなと思える。

それにキラキラポップみたいなfuture  bassやfuture  popはもう終わりかなと思う。

これは筆者の勝手な肌感で物を言っているだけである。

 

しかし、

どちらも、醒めない夢の中で踊る妄想の音楽である。

妄想都市のディスコで懐かしむノスタルジックな世界観なfuture funk、ずっと子供のままでいたい妖美な夢の世界観のfuture pop/bass。

 

muramasaがパンクに傾倒している事実にもう一度目を向けて欲しい。

 

あなたが何かに気づく時、それが夢から醒めた時かもしれない。